第5回歯科プレスセミナーで発表する、神奈川歯科大学大学院歯学研究科の山本龍生教授
第5回歯科プレスセミナーで発表する、神奈川歯科大学大学院歯学研究科の山本龍生教授
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 いつまでも健康で長生きしたいというのは誰もが抱く共通の願いだ。健康寿命、つまり健康上の問題で日常生活に制限を持たない期間をいかに伸ばすためにどのような心がけが大切なのだろうか。(一社)日本私立歯科大学協会は第5回歯科プレスセミナーを開催。この中で、神奈川歯科大学大学院歯学研究科の山本龍生教授は、歯の健康が要介護リスクと関わりを持っていることを明らかにした。

 山本教授は「歯の健康とその後の認知症・転倒・要介護の関係」について講演した。日本人の平均寿命は84歳(2014年版世界保健統計による)と、世界一の長寿国を維持している。一方で、厚生労働省科学研究班の2010年の試算によると、要介護期間は男性で9.2年、女性は12.8年だという。

「80年を超える長寿をまっとうしても、終盤の10年程度は日常生活に支障のある要介護期間で、健康とは言えません。一般的に海外の要介護期間は約7年ですから、日本の要介護期間は突出しています」(山本教授)

 要介護の状態になると日常生活に支障が生じる。例えば自分で歯磨きができないため、歯のケアがおろそかになることがある。
「確かに要介護者は歯の健康が不良になりがちです。これまでは、要介護状態になったため、歯の手入れができにくくなり、その結果、歯が不健康になるという順番が想定されていました。しかし、これとは逆に、まず歯の健康が悪化し、それが認知症や転倒・骨折のリスクを高めることが最近の研究で分かってきました」(山本教授)

 山本教授らは歯の健康と認知症の関係を調べてこれを裏付けた。まず、65歳以上で認知症になっていない健康な人4,425人を対象に、残っている歯の数と義歯使用の有無を調べた上で、4年間にわたる追跡調査を実施。その結果、歯がほとんどなく、義歯も使っていなかった人は、歯が20本以上残っている人よりも1.85倍も認知症になりやすいという。

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