「後からどなたかがおみえになられる……ということはございませんか?」
「ありません」と応えると、「もしどなたかお呼びになられたらフロントまでご連絡を」と事務的な口調で返された。
どなたかを呼ぶ――これは宿泊施設に呼び性的なサービスを行う「デリバリーヘルス嬢」を意味するのだろう。そのため、同伴で利用する女性を何度もコロコロ変えるのは遠慮してほしいと、きっぱりと話す。
そして、1時間の利用でも宿泊でも外出は可能、1人でも2人でも利用料金は同じ。ただし“男性同士2名”の利用はNGだそうだ。では女性同士はOKなのか。フロント係に聞いた。
「女性同士ならうちはお請けできます。男性同士を請けるところは聞いたことありませんね。いろいろトラブルがあってもいけないので。3名様以上で1部屋もうちは無理です。消防法の絡みだそうです」
料金は休憩でも前金制だったが、レンタルルームによって、休憩ならば利用終了時、宿泊なら前金というシステムを採用するところがほとんど。支払いは現金でもクレジットカードでもどちらでもいい。なかには電子マネーを使えるところもある。
記者が料金を支払っていると、エレベーターのドアが開いた。入ってきたのは50年配と思しき男性と40代前半と思われる女性の熟年カップルだった。女性のほうと目が合った。とっさに女性は男性の背中に顔を隠す。