普天間飛行場の移設先として、注目を集める沖縄県名護市辺野古。埋め立ての調査のためのボーリングが始まってから18日で1年が経過した。この間、穏やかだった海にはコンクリートのブロックが投入され、海上では埋め立てに抗議する人たちの船やカヌーと、それを抑止せんとする海上保安庁の警備のためのボートなどが衝突を繰り返すようになった。
今月10日から作業は一時中断し、沖縄県と国は辺野古移設に関する協議に入ったが、協議は平行線のままだ。今後、この海が以前のように平穏な海に戻ることがあるのか、先行きは全く見通せない状況だ。
皮肉なことに辺野古の海はこの移設問題が持ち上がることで、全国から注目を集めることになった。ニュースで目にする辺野古の海の風景は、コンクリートのブロックに押しつぶされるサンゴや、海上で衝突し、争う船や人の映像であることが多い。
本当の辺野古の海の姿は、どのようなものなのだろうか。今後、破壊されてしまうかもしれない辺野古の海の環境を少しでも正しく知るため、日本自然保護協会は、2002年から地元のダイバーの協力を得て調査を続けている。
辺野古の海はその風景が美しいだけではなく、そこに生きる生物にも希少なものが多い。例えばジュゴンが採食することでその名を知られたアマモなどの海草類。辺野古でみられる海草は全部で7種類あるが、そのすべてが環境省第4次レッドリスト(レッドデータブック2014)で準絶滅危惧種(NT)にリストアップされている。海の中に広がる大草原である海草藻場は、サンゴ礁や干潟、マングローブの林などと同様に生態系をささえる大事な場所なのだが、普段目にする機会も少なく、サンゴのように華やかでもないため、その重要性があまり知られていない。基地建設が進むと、この海中の草原は確実に失われていくだろう。
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辺野古の海草藻場がどんな姿なのか?調査に参加した市民ダイバーらによって撮影された、辺野古のイノー(礁池)とその付近の小島の風景と海の生き物の姿を写真特集でご覧下さい。
(※)の写真は日本自然保護協会が実施した市民参加調査の際に撮影されたものです。12人のダイバーが写真におさめました。