マンガ文化に大きな足跡を残した手塚治虫の業績を記念する「手塚治虫文化賞」(朝日新聞社主催)の第19回贈呈式が22日、東京・築地の浜離宮朝日ホールで行われた。
年間のベスト作品に対して贈られるマンガ大賞に選ばれたのは、「きょうの猫村さん」で知られる、ほしよりこさんの『逢沢りく』(文藝春秋)。ほしさんには鉄腕アトムのブロンズ像と副賞が贈られた。壇上でブロンズ像を受け取ったほしさんは、緊張した面持ちながらも、喜びをじっくりとかみしめていた。
斬新な表現、画期的なテーマなど清新な才能の作者に送る新生賞に輝いたのは、「障害といじめというテーマ設定と表現手法が、斬新で画期的」と評価された大今良時さんの『聲の形』(講談社)。大今さんは「この賞は私にとって大きなご褒美であり、それに見合うようなマンガをこれからも描いていけたらいいなと思う」と、喜びを語った。
短編賞に選ばれた吉田戦車さんは、「まんが親」など現在連載中の作品への評価に加え、「伝染(うつ)るんです。」など過去の作品も含めた「全体の業績に賞を与えたい」という意見が賛同を集めての受賞となった。
また、マンガ文化の発展に寄与し個人・団体などに贈られる特別賞には、半世紀以上にわたる連載を完結させたみつはしちかこさんの『小さな恋のものがたり』(学研パブリッシング)が選ばれた。
授賞式後に行われた吉田戦車さん×伊藤理佐さん(第10回短編賞受賞)の記念対談「祝・夫婦で短編賞作家に!」では、受賞連絡のウラ話から、夫婦でハマっている買い物の話まで、会場を大いに盛り上げた。
授賞式の様子と、対談の詳しい内容はdot.にて、近日公開予定。