また、「いずも」は艦隊を率いる司令部機能が高度化している。これは作戦を行う際に「いずも」が“海上拠点”となる重要な機能だという。さらに、輸送能力も高い。島嶼防衛・奪還作戦や災害救助活動で大きな役割を果たす、陸上自衛隊の3.5トン大型車両が50両も搭載できる。また、同じ艦隊の艦船に燃料を補給できるタンクもあり、補給艦の役割もある程度果たせるという。

 政府は否定するが、一部では近い将来、米軍が開発中のステルス機「F-35B」が「いずも」に搭載されるのではないか、と噂されている。「F-35B」は垂直離陸が可能な航空機で、艦体にカタパルトなどの離陸システムがなくても使用できる可能性があるためだ。果たして、「いずも」にF-35Bを搭載できるのだろうか。山崎氏はこう解説する。

「F-35Bは垂直離陸の時に、甲板に高熱を吹きかけるため、今の『いずも』の甲板では無理でしょう。ただ、甲板が変形しないように耐熱塗料を塗るなど、その強度を高めれば、搭載できないことはありません。航空機も訓練すれば運用できるでしょう。『いずも』は今後40年は使われます。この間に、日本周辺の状況が変わることもあり得るでしょうし、どんな改造が今後行われるか、予測できません」

 つまり、「ヘリ空母」から戦闘機や攻撃機を搭載した「正規空母」への改造は難しくないというわけだ。東シナ海などへの進出をめざす中国は2012年に空母「遼寧」を就役させるなど海軍力を強化している。現在、いずも型護衛艦はもう1隻が建造中。これらの存在は、中国に対する牽制球になるはずだ。

(dot.編集部・金子哲士/ライター・河嶌太郎)