見事初優勝を飾り、母校で優勝報告をする青学大の選手たち(1月8日、渋谷区の同大青山キャンパス)
見事初優勝を飾り、母校で優勝報告をする青学大の選手たち(1月8日、渋谷区の同大青山キャンパス)
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 今月3日、創部96年目で箱根駅伝を初制覇した青山学院大学。10年前には、出場することさえ「夢のまた夢」といわれた弱小チームがなぜ、わずかの間にこれだけ力を伸ばすことができたのか。その秘密は、規則正しい生活にあった。

 強豪チームに育て上げた原晋監督が、陸上競技部の長距離監督に就任したのは2004年。まずは予選会への出場資格を得ることが目標だった。

 就任後、長距離ブロックの大改革を行った。部員は寮で生活し、食事を共にして門限は夜10時。規則正しい生活態度を厳しく求めたため、当初は、部員たちから「なぜこんなことをしなければいけないのか」と、反発を受けたこともあったという。

「陸上は単純な競技です。身につけているのはシャツと靴だけ。あとは体一つで戦うんです」(原監督)

 規則正しい生活が功を奏し、08年に予選会を勝ち抜き、10年からは本選でシード権を獲得した。選手として、部とともに成長を続けてきた主将の藤川拓也さん(国際政治経済学部4年)は、こう振り返る。

「入学当時、優勝はとても遠くて、監督から『目標は優勝』と言われても実感が湧きませんでした」

 結果を出すには、普段からどれだけいい練習ができているかがカギだ。順調に力をつけ、昨年の箱根駅伝では総合5位に。そして今年は念願の総合優勝を果たした。原監督はこう語る。

「いい練習をするには、栄養や睡眠をしっかり取らないといけない。二日酔いではいい走りはできませんから。自分のコンディションを把握し、結果を出すためにいい練習ができる状態を常に保つ。普段から生活を整えておくことが必要なのです」

 青学大を特集するムック『青山学院byAERA』(朝日新聞出版刊)では、陸上競技部の成長の軌跡が描かれている。ほかには、卒業生の小久保裕紀・侍ジャパン代表監督、ピアニストのフジコ・ヘミングさんらのインタビュー、あさのあつこさんの掌編小説、同大の福岡伸一教授の寄稿など盛りだくさん。昨年創立140周年を迎えた青山学院の魅力を実感する一冊だ。