プロスキーヤーの三浦雄一郎氏は、富士山、世界7大陸最高峰からのスキー滑降を達成した"冒険家"。けれど、最初は富士山からのスキー滑降は発想さえしていなかったという。実現へのきっかけは、アメリカでの「賞金スキーレース」に参加し、各国選手にいわれたある言葉だった。

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 アメリカでは、各国の選手に何度も「フジヤマでスキーをしたか」と聞かれましてね。考えたこともなかったから、悔しくて悔しくて。「絶対にてっぺんから滑ってやる」って。それに、あの大斜面を大滑降したら、絶対に面白い。その話を日本でしたら「体がバラバラになる」とか、いろいろ脅されて、ますますチャレンジしたくなってね。時速160キロは出るから、それにどうブレーキをかけようかと、いろいろイマジネーションを膨らませました。

 それで、パラシュートを思いつきましてね。知り合いがいた防衛庁の航空研究所に相談に行ったら、「面白い」と乗ってくれて、設計に全面協力してくれたんです。スキーも、航空研究所で何十回もテストを重ねて万全なものを開発した。その努力が実って、見事にパラシュートは開き、大滑降を実現しました。

※週刊朝日 2012年7月6日号