熱狂的ブーム巻き起こした韓国ドラマ『冬のソナタ』が放送されてから今年で10年。多くの日本人、とくに女性たちは韓流を通して韓国を強く意識するようになり、近くて遠かった隣国に親近感を覚え、その後に起きたK-POP人気へと拡散した。
韓流10周年を迎えた今、当時のブームを支えた中高年層の女性たちに加え、新たに20代、30代の若年層の目を韓流ドラマに向けさせることが今後のさらなる飛躍への重要な鍵となるだろう。
韓国ドラマに精通し、歴史・文化などにも詳しい康熙奉(カン・ヒボン)氏にお話を伺いました。
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Q この10年を振り返り、強く記憶に残る作品を教えてください。
A やはり、韓流ドラマを語るには『冬のソナタ』ですね。冬ソナは奇跡のドラマだと思うんです。ストーリーもよくできているし、主役の二人も抜群、音楽も最高で映像も美しい。すべてが完璧です。冬ソナの成功がその後の韓流ドラマ人気へと繋がったわけですから、その功績は大きいです。韓流人気によって日本と韓国の関係もずいぶん変わったと思います。
Q 日本のドラマにはない荒唐無稽さも話題になりましたね。
A 荒唐無稽でいいんです。現実にはないけれど、そういうのがあったらいいな、と思えることを見せてくれるのが韓流ドラマです。女優の演技も日本だったらありえないシーンが韓流ではたくさんあります。食事のシーンでは口の中まで見せたり、ツバも飛ばす。もともと感情を抑えない国民性なので、やりとりするセリフも面白いです。
Q 俳優陣も日本の女性に大人気ですよね。
A とても印象的だったのは、ぺ・ヨンジュンが日本の空港ロビーに出てきたときの感激ぶり。謙虚に喜びを表すその態度は、一瞬で日本の女性の心を掴みました。彼らの日本のファンを大切にする姿も韓流人気を支えている一部でしょう。
Q 個人的にお好きな作品は何ですか?
A 『冬のソナタ』は当然として、2003年の『チャングム』、2005年の『キム・サムスン』、2007年の『春のワルツ』、2009年の『華麗なる遺産』、2011年の『王女の男』などです。
Q 冬ソナ以降も話題の作品が続々放送され、地上波から衛星波BS・CSに至るまで、日本のエンタテイメント界において欠かせないコンテンツとなりましたが、今後の展開はいかがでしょう。
A 韓流は一時的なブームで終わらず、すっかり定着したものと思います。ですが、今の20代・30代の女性たちの中には冬ソナを見ていない人もいます。韓流ドラマもこの10年で変わってきました。面白いものと、そうでないものが極端になってきました。製作する本数があまりにも多いので脚本が追いつかないのでしょう。日本の漫画を原作にしたドラマも何本か制作されています。その中でも、よい作品は生まれています。最近では朝鮮王朝を題材にした歴史ドラマも面白いですし、韓国で爆発的ヒットとなった釜山を舞台にした『応答せよ1997』などは絶対に日本で受ける作品だと思います。そういった傑作ドラマを次々送り出して、韓流がさらに日本で発展し、若年層の新しいファンが増えていくことを心から願っています。