2世俳優つながりで言えば、日本を代表するアクションスター千葉真一を父に持つ、新田真剣佑(23)も改名組だ。

 2017年に事務所を移籍するタイミングで改名を発表。「新田」は本名ではなく、出演した映画「ちはやふる」シリーズの役名「綿谷新」からとったという。同シリーズは、新田が生まれ育ったアメリカから、日本に来て芝居を志すきっかけとなった作品とのことで、思い入れがあったのだろう。同シリーズの原作者である末次由紀氏に改名を相談したところ、快諾してもらったことも明かしている。改名の効果なのか、新田はその後、立て続けに映画やドラマで活躍するようになった。

「現在朝ドラ『スカーレット』で主人公の息子役を熱演している伊藤健太郎さん(22)も2018年、自身の誕生日に『健太郎』から『伊藤健太郎』へと改名し、ブレイクしているのは周知のとおりです。古くは俳優として活躍中の井浦新さん(45)も『ARATA』から変えています。その他、実力派俳優の内野聖陽さん(51)は本来の『まさあき』とは読まれにくく、読み間違えられたことの多い『せいよう』に読み方を改名したというパターンもあるんです」(同)。

■ベテラン俳優の改名は決意表明

 このようにブレイクを果たしたり、活躍の幅が広がったりと人生の大きなターニングポイントとなることが多い芸能人の改名。下の名前だけで活動していた芸能人が実績を積み重ねた後、本名に戻したり名字をつけるパターンが多いことから「改名すると出世する」というイメージもつきやすいようだ。

 TVウォッチャーの中村裕一氏は、こうした改名の背景についてこう分析する。

「俳優に限らず芸能人にはゲンを担ぐ人がとても多く、改名もその一つと言えるでしょう。若手ではありませんが藤岡弘、は己の未熟さを享受し、俳優としての覚悟を決めた証として、名前の後ろに『、』をつけた話は有名です。また、『古畑任三郎』の今泉刑事役などで知られる西村雅彦も、俳優活動を続ける決意表明として2017年に『西村まさ彦』に改名しました。俳優の世界はメンタルやモチベーションが重要なので、名前を変えるという行為は当人にとっては非常に大きなこと。改名で気持ちを一新させることで、より良い演技や充実した活動につなげていけるのです」

 俳優も出世魚のようにキャリアやステージに応じて改名していくケースが今後増えていくのかもしれない。(高梨歩)

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高梨歩

高梨歩

女性ファッション誌の編集者など経てフリーライターに。芸能やファッション、海外セレブ、育児関連まで、幅広いジャンルを手掛ける。活動歴は約20年。相撲フリークの一面も。

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