「ゲームは1日1時間まで」
【写真】うどん店の前ののぼり ヤドンはお揚げとして讃岐うどんのPRに一役買っている
こんなことを言った親や、言われた子どももいるだろう。ゲームよりも勉強して欲しいという親心もわかるが、これが法律である条例として定められたらどうだろうか。そんなことまで法律で決めるのは、“大きなお世話”だと感じる人も多いはずだ。
コロナショックで日本中が慌ただしいなか、香川県議会で3月18日、全国初となる「ネット・ゲーム依存症対策条例」が成立した。4月1日から施行される。
本会議の採決では自民党県政会(所属議員20人)や公明党議員会(2人)、無所属(1人)が賛成し、自民党議員会(所属議員8人)や共産党議員団(2人)が反対、リベラル香川(8人)が退席し、賛成多数で可決した。香川県では県議会の自民党会派が分裂しており、自民党議員会が反対する一方で、最大会派の自民党県政会が条例成立に大きな役割を果たした。
条例案では次のように、ネットやゲームの危険性を強調していた。
「インターネットやコンピュータゲームの過剰な利用は、子どもの学力や体力の低下のみならず、ひきこもりや睡眠障害、視力障害などの身体的な問題まで引き起こすことなどが指摘されている」
こうした危険性の科学的根拠ははっきりしないものもあるが、条例案では保護者の責務として次のようなことを定めている。
「保護者は、乳幼児期から、子どもと向き合う時間を大切にし、子どもの安心感を守り、安定した愛着を育むとともに、学校等と連携して、子どもがネット・ゲーム依存症にならないよう努めなければならない」
具体的には、家庭におけるルールづくりとして、ゲーム時間の制限を保護者に求めている。
「子どものネット・ゲーム依存症につながるようなコンピュータゲームの利用に当たっては、1日当たりの利用時間が60分まで(学校等の休業日にあっては90分まで)の時間を上限とすること及びスマートフォン等の使用に当たっては、義務教育修了前の子どもについては午後9時までに、それ以外の子どもについては午後10時までに使用をやめることを目安とする」
香川県在住で子どもの権利や女性差別問題などに詳しい佐藤倫子弁護士は、条例の必要性に疑問を示す。
「ゲームの時間制限などは、本来条例で決めるようなものではありません。家庭内で話し合えばいいことです。ゲームを通じてコミュニケーションが取れる子どももいるのに、ゲームを『悪者』だと決めつけていいのでしょうか」