立命館大学文学部では、実際にこのシステムを授業に活用している。また、立命館大学の教職員、学生などの登録利用者は、インターネット上の古典籍・古文書資料を閲覧しているとき、別ウィンドーでくずし字を現代の文字に変換できる。昨年にはケンブリッジ大学とカリフォルニア大学で本システムのワークショップを開催するなど、海外への発信にも力を入れている。
現在、くずし字を読める日本人はそれほど多くない。赤間教授は、「特定の方向へのプロパガンダを防ぎ、正しい歴史認識を持つためにも、多くの人にくずし字が開かれる必要がある」と主張する。さらに、新たなコンテンツの誕生も期待している。
「古典籍が簡単に読めるようになれば、そこからインスピレーションを得て新たなコンテンツも生まれやすくなる。地方に眠る古文書は、観光資源にもなり得ます。日本文化の発信にも大いに役立つはずです」(赤間教授)
現在、このシステムで読めるのは江戸・明治時代に出版された版本が中心であるが、手紙などの手書き資料、明治以降のペン書きくずし字の資料も読めるよう改良を検討している。(ライター・大越裕)
※AERA 2020年3月23日号