世界経済の潮流が大きく変化している。これまで成長を引っ張ってきた新興国には陰りが見え、先進国でも不安がぬぐえない。過去においてもこんな不安定な時期には日本の「財閥」が注目されてきた。長い歴史の中で培った組織力や資金力があるからだ。その「3大財閥」を分析すると、それぞれのカラーが見えてきた。
三菱商事、住友生命保険、住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)、明治生命保険(現・明治安田生命保険)など旧財閥系の複数の企業に勤めた経験を持つ経済評論家の山崎元氏はこう語る。
「三菱は『公家』、三井と住友は民間の『商人』。とくに三井はお金をたくさん持った『豪商』というイメージですね」
やはり、「財閥」によって何かが違うようだ。端的に示す有名な言葉がある。
「組織の三菱、人の三井、結束の住友」
実際にグループの社員やOBたちも、こう言う。
「入社して、まず驚いたのは、研修で三菱の歴史をみっちり教わったこと。明治維新以来、日本を牽引してきた『三菱財閥』のすごみを知るんですよ」(三菱)
「正直に言えば、あまり『三井財閥』という意識はないですね。いい意味で自由主義ですが、悪く言えば、まとまりがない」(三井)
「住友と言えば、世間では、体育会系というイメージがありますね。それは旧住友銀行ですが......」(住友)
※週刊朝日 2012年6月22日号