実は、こうした個別の「忖度への報酬」以上に官僚が安倍政権を評価していることがある。それは、安倍政権が官僚の利権にめっぽう甘いということだ。
最もわかりやすいのが、歴代内閣が常に掲げていた「行政改革」や「公務員改革」が、第2次安倍政権では「死語」と化したことだ。今や各省庁の天下りもやりたい放題と言ってよい。
今国会に提出された国家公務員法改正案も官僚は高く評価している。その内容は、「公務員の定年を65歳まで延長し、60歳まで役職定年なしで昇給を続ける。能力や意欲に関係なく65歳までは、60歳ピーク時給与の7割を保証する」というもの。まさに「役人天国」だ。年収1千万円でぶらぶらする60代官僚が続出するのは必至だろう。
一方、加計学園の獣医学部新設に抵抗した文部科学省に対して、安倍政権は天下り規制違反を理由に、前川喜平事務次官(当時)を辞職にまで追い込んだ。
「安倍政権にたてつくとただでは済まないが、そうでない限り官僚の利権は全て守る」。それが安倍政権と高級官僚の暗黙の了解だ。
安倍政権と官僚、どちらも国民を裏切る大罪を犯す共犯者と言うべきだろう。
※週刊朝日 2020年4月10日号