1段階は、通常の疲労。この状態だと、1日や1週間の終わりに「疲れたー」と思っても、1晩熟睡したり、週末にゆっくりすれば、ほぼ回復します。これが通常モードで、実はこの状態であることはとてもありがたいことです。
さらに疲労がたまって2段階になると、これまでと同じ出来事でも2倍ショックを受けやすく、疲労感も2倍、回復にも2倍の時間がかかります。このため私は2段階の疲労を「2倍モード」と呼んでいます。
いわゆる「うつっぽい状態」がこの段階。負担となる課題を避け、行動するのがおっくうになります。小さなことでイライラするようになり、誰もが「性格が悪く」なるのが特徴です。とても傷つきやすい状態ですが、表面的には落ち込んでいることを隠す余力があるため、我慢で乗りきってしまうことが多い。
そして、疲れを麻痺させて頑張り続けると3段階に移行します。うつ状態となり、無気力感、自責感、不安感、負担感が過剰になります。疲れやすさも3倍に、回復にも3倍の時間が必要となります。
3段階では、うつ的性格となるため、これまでの本人とは別人のようになってしまいます。ただ、性格の変化は蓄積疲労がもたらしているもの。風邪が治れば熱が引くのと同じように、疲労が1段階に回復すれば、その人本来の性格に戻っていきます。
■50代の今こそ「休めば回復する」経験を積んでおこう
疲れたのなら、休めばいい。そう思いますよね。しかし、問題は、「うつ状態になるほど、休むのが怖くなる」ということです。
前述したとおり、うつっぽい状態の2段階では、回復にも2倍の時間がかかります。そんな2段階の人に「疲れているでしょう」「休んだほうがいいよ」と言うと、「十分、休んでいます!」と怒る場合が多い。たとえ人より1.5倍休んでも回復できないのが2段階の現実なのに、我慢して疲れを麻痺させて働き続けるうちに、「蓄積疲労」が悪化して、3段階に移行してしまうのです。