これまで見逃されがちだった「女性のひきこもり」が実態調査によって明らかになってきた。「男は仕事、女は家庭」という日本に古くからある価値観が、女性のひきこもりを表面化させずにいたという。AERA 2020年4月6日号では、各世代のひきこもり女性の現状を追った。
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ひきこもりの経験者らでつくる「ひきこもりUX会議」は3月26日、「ひきこもり・生きづらさについての実態調査2019」を発表した。昨年10月から11月にかけ、ひきこもりや生きづらさを自認する当事者・経験者を対象にインターネットやイベントなどで呼びかけ実施したもので、6歳から85歳まで1686人が回答。これほど多くの当事者や経験者が答えた調査は、前例がないという。
回答者のうち今もひきこもっているのは940人で、そのうち女性は61.4%と、32.7%を占めた男性の倍近くいた。
女性がひきこもるきっかけは「こころの不調・病気・障害」が64.8%ともっとも多く、「家族との関係」37.6%、「からだの不調・病気・障害」33.2%、と続く。年齢は30代が36.2%ともっとも多く、次いで20代28.6%、40代23.7%の順。ひきこもりの期間は10年以上が約32%いるなど、長期にわたっていることもわかった。
こうした実態が、なぜ今まで表面化してこなかったのか。「ひきこもりUX会議」代表理事の林恭子さん(53)は、「男は仕事、女は家庭」という日本に古くからある価値観が大きいと見る。
「たとえば、成人した男性が働かないで家にいると親は心配し何とかしようとします。だけど、女性は成人して家にいても、家事を手伝ってくれれば問題と思わず、親も相談に行かないため問題化されづらい」
最近は40代、50代の女性のひきこもりが増えていると感じると言う。
「40代は氷河期世代にあたります。非正規で働く人が多く、契約が切れて転職を繰り返すうちに疲弊し、ひきこもる人が少なくないと思います」(林さん)