元金融担当相の亀井静香氏(撮影・上田耕司)
元金融担当相の亀井静香氏(撮影・上田耕司)

 感染爆発の危機が迫る、新型コロナウイルス。相次ぐ自粛要請で経済の落ち込みも深刻だ。元金融担当相の亀井静香氏が“アベノリスク”を乗り越える策について語る。

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 新型コロナウイルス騒動のさなかの3月6日、麻生太郎財務・金融担当相は「債務の元本・金利を含めた返済猶予等の条件変更について、迅速かつ柔軟に対応する」との方針を発表しました。これが、東京商工リサーチの企業向けニュースに「2013年3月に終了した中小企業金融円滑化法の枠組みが事実上復活することになる」と出ていました。

 実はこの法律、私が主導して作ったんです。

 09年、鳩山由紀夫内閣が発足し、私は郵政改革担当相と金融担当相の兼務を仰せつかった。08年のリーマン・ショックの翌年で景気が悪く、全国の中小・零細企業が資金繰りに困って倒産が急増していた。私の知っている経営者3人も自殺した。

 そういう時期だったから、就任会見で「借金のある人は、返せるようになるまで返さなくていい」と発表したら大騒ぎになっちゃってね。中小・零細企業は拍手喝采だったけど、鳩山首相は「むちゃだ」と言って慌てたし、与野党からも猛反対された。

 銀行の頭取ら十数人が押しかけてきたこともあったけど、「貸した先が倒産しちゃったら商売にならないでしょう。だから、貸した先の企業がもうかるようになるまで追加融資をし、利益を上げて返済してくれるようにしようという法律ですよ」と説明したものです。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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