給付されるのは2~6月のいずれかの月収が、新型コロナウイルスの発生前と比較して、年収ベースで住民税が非課税となる水準まで減少したケースか、あるいは収入が半分以下となり、年収換算で住民税非課税水準の2倍以下となったケースとされている。

 だが、こうした条件にかなっていたとしても、申告して簡単にOKが取り付けられるのか。事情通たちに問うと、かなりの時間がかかりそうである。一体いつごろ給付が得られるのか。5月、下手すると6月以降になるのではないか。

 また、中小企業向けの給付金は、売り上げが半減した事業者に対し、法人の場合は200万円、個人事業主は100万円となっているのだが、「売り上げ半減」という条件は複雑である。やはり事情通たちに問うと、かなりの手間がかかり、給付を受けるまでに時間を要するということだ。それに、100万円、あるいは200万円が一度限りでは、安心できる補償にはならない。事態が長期化した場合には、どうするつもりなのか。

 安倍首相は、過去最大規模の経済対策だと胸を張ったが、国民が安心できる態勢を、政治生命をかけて、責任を持って整えてもらいたい。

週刊朝日  2020年4月24日号

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田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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