30年以上も芸能界の「一線」で活躍し続ける山瀬まみ
30年以上も芸能界の「一線」で活躍し続ける山瀬まみ
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 1980年代の女性アイドルで今なお、活躍できているのは誰か。時代の象徴ともいうべき松田聖子は別格として、いまだ高い注目を浴びているのは工藤静香だろう。また、ドラマや映画での稼働具合でいえば、斉藤由貴もかなりのものだ。

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 が、このふたりはそれぞれ、家族も有名な芸能人だったり、不倫が騒がれたりという仕事以外の話題性がある。斉藤はともかく、工藤のようなタレントは他にもいて、松本伊代や三田寛子、渡辺満里奈らがそうだ。すなわち、木村拓哉やヒロミ、中村芝翫、名倉潤(ネプチューン)といった家族あってのステイタスである。

 一方、こうした仕事以外の話題性を除外したうえでの現役感や活動量を比較した場合、意外な人物が浮上する。山瀬まみだ。夫は俳優の中上雅巳(元・6代目いいとも青年隊)だが、舞台中心の地味な活動で、彼女にとっての七光はほとんどない。事務所こそ、大手のホリプロ所属とはいえ、同じバラエティータレントの榊原郁恵や井森美幸、小島瑠璃子よりじつはメディア露出も上なのだ。

 というのも彼女、3本の長寿番組でMCを務めている。「新婚さんいらっしゃい!」(テレビ朝日系)「天才!志村どうぶつ園」「火曜サプライズ」(ともに日本テレビ系)だ。「新婚さん」は途中からだが、それでも23年間やっている。「志村」は16年間、「火曜」も11年間に及んでいる。

 しかも、この3本には近年、それぞれに大きな変化があった。桂文枝の不倫や志村けんの急逝、ウエンツ瑛士の留学だ。さまざまなかたちで番組が揺れても、彼女は微動だにしない安定感で役目をこなす。あまり気づかれていないが、なかなかの勝ち組なのである。

 ではなぜ、山瀬はそういう存在になれたのか。86年にデビューしたものの、アイドル歌手としてはパッとせず、バラドルに活路を見いだした彼女。新人の年から雑誌のインタビューで、

「お笑いに一回立ち入っちゃうと立ち直れないから」
「でも、アイドルで行けるかどうかわかんない(笑)」

 と語っていたことが、現実になったわけだ。似たパターンでブレークしたのが井森や森口博子だが、その違いは、大物、特に男性の大物芸能人にかわいがられたところ。ひとことでいえば「大物ころがし」がうまいのである。

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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