白髪交じりの長いひげ、溶けた歯――。その日、東京湾岸署に集まった報道陣は男の変貌した容姿に目を奪われた。覚せい剤所持の疑いで逮捕されたミュージシャン・槇原敬之(50)被告が保釈されたのは、3月6日のこと。それから約1カ月半が経過しているが、槇原被告は公の場に一切姿を見せていない。コロナ禍で延期されている初公判が5月には開かれるとみられるが、再び薬物に手を染めた理由をどこまで語るのか注目される。
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スポーツ紙記者が逮捕までの経緯を振り返る。
「槇原が逮捕されたのは2月13日夕方。端緒となったのは、2018年3月の薬物事件でした。当時、警視庁は槇原と交際関係にあった所属事務所元社長・A氏を覚せい剤取締法違反容疑で逮捕。ふたりが同居していた東京・港区の自宅マンションに踏み込んだところ、0.083グラムの覚せい剤が付着したガラス製のパイプと危険ドラッグ『RUSH』を発見したのです。槇原とA氏は腐れ縁で、同居生活を送っていた1999年、共に覚せい剤所持で逮捕された過去があった」
2018年3月の事件でA氏は有罪判決を受けたが、“重要参考人”である槇原被告に対する捜査は水面下で進められていた。ある捜査関係者が打ち明ける。
「槇原の件は、署内の積み残し案件でした。秘匿捜査を進めていたのは、ゲイタウンである新宿二丁目を管轄する警視庁四谷署です。昨年以降、槇原の自宅から出た廃棄物を分析したところ、指定薬物の使用を裏付ける複数の痕跡が検出され、逮捕状請求が可能な証拠関係が整った。そのため組対5課長が定年を迎える直前のタイミングで強制捜査に着手したのです。要するに、槇原の逮捕は5課長に花を持たせる意味もあった」
槇原被告は5月以降に行われる初公判に控え、連日音楽関係者に謝罪の電話をかけ、「本当に最近はずっと使用していなかったんです」と“身の潔白”を主張しているという。
「捜査当局が第二のターゲットとして注目していたのが、渋谷区内の一軒家で槇原と一緒に暮らしていた現在の交際相手の男性です。槇原の逮捕後、捜査当局は何度も彼に対し、事情聴取を行っていました。一方で槇原は『今の彼とは一切そういうことはしていない』とかたくなに否定。実際、槇原の供述通り、尿検査でも陽性反応は出なかった」(同前)