小向教授は「オンライン葬儀はより故人らしさが出せるのでは」と肯定的に見る。

「オンラインであれば、音楽や映像などのデジタル技術を使って演出もすることができます。自分の父親はビートルズが好きだったから、お経ではなくビートルズの楽曲を流そうといった具合に、葬儀にオリジナリティーが出せるようになります」

 人が集まらなくて済むオンライン葬儀は、時代のニーズにも合致しているという。

「2040年には、団塊世代700万人が大量死する時代がやってきます。葬儀会場の確保が困難になる上、参列の回数も増えるでしょう。オンラインであれば、場所の制約もなく、1日に複数回の参列も可能になる。また、超高齢社会を迎えるにあたり、高齢で思うように動けない人や、入院中の人でも参列ができるシステムは理にかなっています。コロナを契機に、これまで踏み切れなかった葬儀の変化がいや応なしに進んでいる。世界全体で人の弔い方が変わるはずです」

「アフターコロナ」の世界では、人々の生活様式が大きく変わると言われる。伝統的な風習が根強く残る「お葬式」も、その例外ではなさそうだ。(AERAdot.編集部/飯塚大和)

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