本でも図鑑でもYouTubeの授業動画(小中高、いずれもあります)でも、もちろん遠隔授業でも。高校生ならよりカリキュラム的なところに寄せてもいいですね。まずは知識を入れるところから手をつける。習ってないことをいきなり問題演習しても理解は身につかないので、無闇矢鱈とワークをこなす、みないなことは避けたいですね。逆に、一人きりだからこそ、より一人ひとりにあった学びがデザインでき、より興味ある知識をふんだんに吸収できる機会かもしれません。

――まず、勉強を「何かを知ること」と「作業的な学び」に分類をする。失われた「何かを知ること」の機会を本やYouTubeの授業動画などで補填することが重要になるのですね。

伊沢:その通りです。次に、それを「作業的な学び」と紐づけることも必要になるかと思います。反復、実践することで身についていくというのは、学びに欠かせぬ要素です。しかし、「何かを知ること」と「作業的な学び」の具体的な紐づけはかなり難しい。図鑑で学んだことをどう実践するのか、というのは一筋縄では行きません。なので、宿題的な形にとらわれないアウトプットを促すことがひとつの解決策になると思います。子供に今日学んだことを話してもらうとか、もう少し上の学年ならそれを文章の形で日記形式に綴るとか。頭に入れることと、入れた知識を出すこと。そのセットのどちらも欠けないように、というのが、「自学自習」における最初に意識すべき点かと思います。

――「何かを知ること」と「作業的な学び」を上手く紐づけるのは難しいけれど、「インプット」と「アウトプット」のセットを意識すれば、「自学自習」に近づけるというわけですね。QuizKnockの新刊『勉強が楽しくなっちゃう本』でも、「本当に大切なことは、(学校のカリキュラムについていくことではなく)自分のやりたいことをしっかりと自分のペースでこなしていく力」だと書かれています。今こそ、「勉強」についての見方を変えるよい機会なのかもしれませんね。

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