男をたぶらかし、ときには貢がせたりというイメージのある"悪女"。しかし、男性社会で生きるためには悪女になったほうがいいと言うのは元銀座ホステス・アップウェブ社長の藤田尚弓氏だ。
 藤田氏はカタい家庭に育ち、「頑張っていさえすれば、正当な評価をしてもらえる。神様が見ていてくれる」と信じる、"いい子"だった。しかし、ある会社で、初の女性管理職に抜擢されると、男性社員との間に不協和音が生じることに。さらに、頼まれ仕事を優先し、本来の仕事でミスをしてしまった。それがきっかけで、計算高いと言われても結果を出せる人、すなわち「悪女」になろうと決心したと言う。
「私の考える『悪女』とは、他人を騙すのではなく、賢く仕事と人生をコントロールする魅力的な女性です。相手が気持ちよく動いてくれるように、周囲に働きかけます」(藤田氏)
 藤田氏にとって悪女とは、仕事や人間関係を円滑に進めるためのもの。決して利己的で相手を振り回すことではない。ただし、相手の満足度が上がるような嘘はアリだ。
「例えば仕事で契約獲得が確実な案件でも、最終段階でわざと上司に同席をお願いする。そして契約が取れると、『○○さんのおかげです』と上司にお礼を言う。別の同僚たちにも、『○○さんのおかげで』と報告する。上司も悪い気はせず、何かと声をかけてくれるようになる」(藤田氏)
 この「おかげさま作戦」で、社内の敵をつくらず、いい関係をつくることができる。
「『いい人』という免罪符を捨て、よく考えて行動すれば、誰でも『悪女』になれます。確かに陰口もたたかれますけど、いい結果と、いい人間関係は手に入りますよ」(藤田氏)

※週刊朝日 2012年5月18日号