次の衆院選の"台風の目"と目される橋下徹大阪市長率いる地域政党「維新の会」が、いよいよ動き出した。
「衆院選を戦うには一人最低5千万円の経費がかかり、必然的に自己資金のある候補者しか擁立できなくなる。政党要件を満たすため、解散までに5人以上の現職国会議員をかき集めるつもりだろう。消費増税法案に反発し、民主党を離党した小沢グループの木内孝胤、平山泰朗の両議員も水面下で維新と接触を図っているようだ」(民主党幹部)
他党との関係では、自民・公明両党への接近が顕著になってきた。
大阪府の松井一郎知事は4月17日、維新の会が掲げる「大阪都構想」の実現に向けた法改正について、自公案を支持する方針を表明した。都構想を巡っては、自公両党、民主党、みんなの党の3案が出たが、今後は民主党が自公案に歩み寄るかが焦点となる。
「民主党が乗らなければ、地方分権改革、エネルギー政策、消費税などすべてで我々と反対ということだ」
と、民主党を牽制した松井知事は4月中旬、東京・新橋の鳥鍋料理店で自民党の松浪健太氏、西村康稔氏、大阪府知事選への出馬を取り沙汰された丸山和也氏ら6人、民主の松野頼久氏、石関貴史氏、みんなの党の小熊慎司氏と会談した。
「自民党の府議会議員だった松井知事は松浪氏と前からの"ポン友"で、自公案は松浪氏が維新の浅田均政調会長や橋下氏のブレーンである堺屋太一氏らと調整して練り上げた。維新は都構想を実現するため、お膝元の大阪の小選挙区で10人前後の自前候補を立て、残りは選挙協力にとどめるなど、自公の候補者に配慮するとうわさされている」(自民党関係者)
一方、戦々恐々なのは民主党だ。大阪は民主王国で、小選挙区では樽床伸二幹事長代行、藤村修官房長官、平野博文・文部科学相ら大物を含む17人が選出されたが、次の衆院選は安穏としていられないという。
「維新派は樽床、藤村氏らの選挙区に東国原英夫・前宮崎県知事ら知名度の高い候補を刺客として送り込む計画まで練っているそうです。関西圏の小沢系の民主党議員らは生き残りを図るため、維新の選挙協力が得られるよう水面下で接触を図っているようだ」(民主党大阪府連関係者)
どうやら、「仁義なき衆院選挙」になりそうだ。
※週刊朝日 2012年5月18日号