■通常だと運び込まれない地域から?
そうですね。近頃は、今までに見たことのない救急隊の名前を見ます。最近ですと、70代男性で、発熱があり、低酸素状態で気管挿管しないとまずいという患者さんが、6病院に断られてうちに運び込まれるといったような状況が起きています。ただ、東京のように50病院に断られてとか、何時間も見つからずとまでの状況は神奈川ではないかと思います。
■神奈川のコロナの感染者数が東京より少ないからでしょうか。
たしかに、神奈川の感染者数が抑えられているというのは、あると思います。加えて4月に入って「神奈川モデル」という軽症、中等症、重症と振り分けるシステムが機能しだしたという影響もあります。また、地元医師会のご協力があるのも大きいです。
■医師会からのご協力とは?
地元医師会に所属する開業医の方に、平日9~19時に、プレハブで行っている発熱外来を手伝ってもらっています。これを始めたのは3月初旬ごろです。2月に、新型コロナウイルスの感染拡大が病院にとって危機的状況になりうると感じられたころから、「当院のメンバーだけだと絶対にまわらない」と予測していました。
一方で、地元の開業医の先生たちも「自分たちのクリニックに(コロナの感染が疑われる患者が)来られると困る」と感じていて。これは、来院される患者さんをけっして診たくないというわけではありません。ただ、「クリニックにこられても処置できないし、環境も整っていないので困る」ということです。
だったら、ちゃんと看護師が問診して、バイタルサイン(呼吸、体温、血圧、脈拍など)を測れる環境で、急変があるような患者さんではなく、若くて歩けるような軽症の患者さんたちを開業医の先生が診られるような場所をつくろう、と。プレハブでの発熱外来に医師会の先生たちが交代で入ってくれて、診療してくれているので助かっています。当院だけでなく、地域全体でこのような体制があるから、まだ、ギリギリ持ちこたえているのかなとは思います。