※写真はイメージです(撮影/ 写真部・松永卓也)
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 感染したら、重症化する可能性が高いかもしれない。通院による感染リスクと、治療を中断するリスクをどう考えればよいか。AERA 2020年5月18日号から。

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 4月23日、俳優の岡江久美子さんが新型コロナウイルスによる肺炎のため亡くなり、がん患者らがショックを受けた。岡江さんは昨年末、初期の乳がんで手術を受けていた。

 再発したすい臓がんで定期的に抗がん剤治療を受ける神奈川県の男性(43)は言う。

「僕ら治療中のがん患者は、感染症にかかりやすいとか、重症化する可能性もあるとか言われて、細心の注意を払って生活しています。ましてやコロナは、心配がないわけはないですよね」

 男性は緊急事態宣言発令後、通院自体に感染リスクを感じ、抗がん剤治療をスキップすべきか主治医に相談した。主治医からはこう助言された。

「都内で医療崩壊に近い状態が続けばコロナ患者の受け入れが増え、当院もGW明けには治療に優先順位をつけるかもしれない。来院できるうちに来ておいた方がいいですよ」

 通院による感染リスクと、治療を中断しがんが悪化するリスク……。男性は「進行がんの自分は、抗がん剤が命綱」と主治医の助言を受け入れた。

 岡江さんは2月半ばまで放射線治療を受けていたという。過度の心配から治療控えに至らぬよう、日本放射線腫瘍学会はホームページで警鐘を鳴らす。

<早期乳癌手術後に行われる放射線治療は体への侵襲が少なく、免疫機能の低下はほとんどきたしません。現在のところ乳癌術後の放射線治療が新型コロナウイルス感染症の重症化を招くという科学的根拠もありません>

 2月に中国のCDC(疾病予防管理センター)から発表された中国の新型コロナ感染者4万4672人のデータでは、全体の致死率は2.3%なのに対し、がんの患者は5.6%だった。

 アラバマ大学バーミンハム校脳神経外科助教授の大須賀覚医師は、こう指摘する。

「今は詳しいデータを取っている段階で、明確な結論を述べる段階ではありません。がんにも多くの種類があり、治療方法も多様で、患者個人の全身状態も異なります。患者さん全員が同じように高いリスクがあるとは言い切れません」

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