株式市場は森羅万象を映し出すと言われる。そんな予測不可能な相場でもどうにか予測しようと、証券業界では、あらゆる方法が模索されてきた。一般人にとっては奇想天外と思える方法でも、ナルホドとひざを打つこともしばしば。東京の証券街・兜町界隈の飲み屋で飛び交う、そんな話の一部を紹介しよう。
「NHKの大河ドラマで平氏が主人公をやった年は、相場が上昇するんだよ」
 ハイボールをすすりながら、まじめな顔でそう語るのは銀行系証券会社のベテラン社員N氏。個別企業の業績動向から世界経済全般まで精通した理論派だが、先日開かれた業界の情報交換の飲み会では、「平家と相場の関係」という話で持ち切りになったという。
 今年の大河ドラマは松山ケンイチ主演の「平清盛」。N氏が言うにはこうだ。源氏と平氏が大河ドラマの主人公になったのは過去5回。その年の相場はすべて上昇し、年間上昇率は平均で3割に達した。とくに平氏に限ると、5割以上だったというのだ。
 証券関係者が平氏を気にするのは理由がある。
 日本の証券取引の中心は、東京証券取引所がある東京都中央区日本橋兜町。この町名は、平将門の兜を供養したことに由来しているともいわれるからだ。取引所の向かいにある兜神社がその場所だという。反乱を起こした将門を討った武将・藤原秀郷がその首を京都へ運ぶ際に将門の兜を埋め、塚をつくったという。
「このため、証券業界では平家と株式相場を関連付ける人は少なくありません」(N氏)

※週刊朝日

 2012年4月27日号