著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回は、漫画家・江川達也さんの「大益」の「マグロ」だ。
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僕はデビューが決まって、最初にひとり暮らしを始めたのが吉祥寺。理由は『AKIRA』の連載で注目を集めた、尊敬する大友(克洋)さんが吉祥寺に住んでいると知ったから(笑)。ミーハー気分で住み始め、16年ほど過ごしました。
吉祥寺にあるこの寿司店は、デビューしたての頃、当時の「ヤングマガジン」副編集長に連れていってもらいました。店に入ると分厚い一枚板のカウンターがあって、緊張しながら食事をしたのをいまも忘れません。そして初めて食べるミナミマグロのうまさに感嘆! トロはとにかく甘みが強く、赤身はねっとりと濃厚。あれから30年以上経ちますが、このマグロが食べたくていまも通い続けています。
最近、寿司をいろいろと加工する店が増えましたが、ここは変わらず素材の味をストレートに楽しませてくれる。それだけいいネタを使っている証拠。時代とともに街の様子はずいぶん変わりましたが、いまだに懐かしい味が楽しめるのは、嬉しいかぎりです。
「大益」東京都武蔵野市吉祥寺本町4−13−2/営業時間:12:00~13:30L.O.、17:30~21:30L.O./定休日:月 ※この時期の営業日、時間についてはお店にお問い合わせください
(取材・文/沖村かなみ)
※週刊朝日 2020年5月22日号