4月13日朝、北朝鮮は「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイルを発射したが、数分で空中分解を起こして海上に落下した。ジャーナリストの田原総一朗氏は、「誤解を恐れずに記せば」と前置きしたうえで、日本の防衛省は、ホンネではこのミサイル発射を歓迎していると言う。
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実は、沖縄県民はかねて自衛隊が大量に沖縄にやってきて、しかも米軍と連携して大掛かりな訓練などを行うことには大反対であった。
ところが、北朝鮮がミサイルを発射するという緊急事態が生じたことで、これまで強いタブーだったことが抵抗らしい抵抗もなく受け入れられた。自衛隊にしてみれば堂々と突破できたのである。そして米軍の精鋭と大規模な訓練ができた。
これは中国にとっては大いに困惑すべき事態である。中国はこれまで海軍力の増強を重ねてきて、実質的に東シナ海と南シナ海をコントロール下に置こうと考えていた。本来ならば日米連携の訓練に対して強い牽制をしたいのだが、弟分のような北朝鮮がとんでもないことをしてくれたので、イライラしながら黙っているしかない。
私が信頼している安全保障の専門家が興味深い解説をする。
「私たちは今回のミサイル発射を、北朝鮮が中国を困らせるためにやったと捉えています。このところ中国は北朝鮮に冷たい。食糧援助と経済援助を満足にやっていない。そこで、駄々っ子がデパートの床に座り込んでギャアギャア泣き叫んだ。そうすれば、困り切った親が仕方なく言うことを聞いてくれる。それが今回のミサイル発射の本当の狙いではないでしょうか」
専門家の話を聞いて、世論を気にしなくてもよい国はむちゃなことをやってのけるものだと改めて感じた。
※週刊朝日 2012年4月27日号