D:FX(外国為替証拠金取引)でも個人投資家はだいぶやられましたね。国内では、トルコリラとかメキシコペソなどの高金利通貨が人気で、買って放置してスワップ(金利)収入を得ていた個人投資家が多い。トルコリラもメキシコペソも、国内投資家のポジションは90%以上が「買い」ですからね。それなのに、コロナ相場で新興国通貨は大暴落。トルコリラに関しては大幅な利下げでスワップ収入が減った影響で売りが増えて、対円で史上最安値を更新中。メキシコは産油国だから、原油相場の急落に伴いペソも大幅安になりました。

B:投資経験者ほど難しい相場でした。NYダウが急落すれば、リスクオフでドル売り円買いが進むのがセオリーなのに、今回は完全に逆だった。あまりにも急激な株安にびっくりして、あらゆる資産で現金化の動きが加速した結果、“ドル不足”が生じて、株安なのにドル高が進んだ。前日にドル/円が3%下げて、翌日には3%上げる、というようにビットコインみたいなボラティリティー(変動率)の大きさだったので、振り回された投資家は多い。

C:スワップ投資をやっている知り合いのなかには、いまだに数千万円単位の含み損を抱えている人もいます。本来なら安値で買い増して、平均購入価格を引き下げたいところですが、「まだ下げそうで怖くて買えない」と言ってます。

B:知り合いの大手証券会社の営業マンは、個人投資家に詰められすぎて、メンタルをやられて2週間ほど前から入院してます。彼は個人に高配当が売りのブラジルレアル建て債券やトルコリラ建て債券などをかなり売ってたみたいで……。

A:個人投資家さんが怒るのもわかる……。

D:レアルはここ5年で半分に値下がりして、トルコリラは3分の1に下がっていますからね。新興国債券は15%程度の高利回りが売りですけど、それ以上に通貨が下落しているから評価額は大幅なマイナスでしょう。営業マンの勧めで買ってしまうような人はだいたい高齢者なので、おそらく投資額は大きく、損失は数百万円単位。合わせる顔がないと思って、「入院した」と言いつくろってる可能性もありそう。

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