D:今回の急落の一因に原油価格の暴落がありました。サウジアラビアとロシアの減産協議が破談に終わり、サウジが大幅増産を決めて、3月前半にかけてWTI原油先物価格は50%以上も下落した。4月にはコロナ禍による原油需要の縮小から、5月限の原油先物が史上初のマイナス37ドルまで大暴落したけど、その後は値を戻して30ドル台回復寸前まできている。コロナ禍の終息期待で原油需要は回復基調にあり、日経平均やNYダウが二番底をつけに行くような場面は想像しにくくなってきた。
A:投資家の買い意欲は旺盛ですよね。楽天証券の3月の新規口座開設数は前年同月比50%増になるなど、ネット証券の口座開設が伸びている。安くなったら買いたいと考えていた投資家が、コロナ相場をきっかけに参入してきた。実はネットに弱い地場証券でも大口の資産家が追加入金していて、「新規の預かり金がここ10年ほどで最高になった」というところも。資金に余裕のある資産家は「暴落局面は絶好の買い場」と捉えて買い向かっていた。
B:私が運用するファンドも解約はごくわずかで、むしろ新たに投資したいという顧客が増えています。ほかの中小型株系のファンドも同様。日経平均は高値から21%下げましたが、中小型株がメインのファンドは14~15%のマイナスで踏みとどまった。指数よりはパフォーマンスが高かったので、海外の年金基金などからも新規投資の話が舞い込んできている。
C:でも弱小個人投資家はそうもいきませんよ……。3月は配当取りの時期じゃないですか? 今年は3月27日が権利付き最終売買日だったので、私はちょうどその1カ月前から高配当銘柄や優待銘柄を仕込んでいたんです。そうしたら、3月に入ってすぐに暴落。配当利回りが高くなるから我慢しようかと思ったけど、1週間たっても下げ止まらないので、そこで投げ売り。1カ月で数百万円の損失になりました……。
D:配当・優待狙いの投資家は、かなりやられたでしょうね……。
C:周りには億単位の含み損を抱えた人や、「家が買えるぐらいの損失を出しちゃって旦那に言えない!」という主婦もいます。おそらくですけど、コロナにかかって連絡が取れなくなってしまった投資仲間もいる。インスタに人工呼吸器をつけた写真をアップしてから、その後更新がなく、今も連絡が取れないんです。ほかにもブログやツイッターの更新が止まった投資仲間もいるんですけど、こういう時期だと大損して更新する気が失せたのか、コロナにかかって更新できなくなったのかわからないじゃないですか? だから連絡しづらくて、疎遠になってしまった仲間もいます。