コロナショックで3月に1万7千円を割り込んだ日経平均株価はいつの間にか2万1千円をうかがう展開に。「大恐慌以来の不況」が叫ばれる中、足元の“コロナ相場”はなぜ強いのか。今後はどうなるのか。相場のプロ中のプロに誌上座談会をお願いした。
■座談会参加メンバー
証券アナリストAさん/中堅証券会社の株式調査部部長。調査一筋で、幅広い兜町人脈を持つ。中小型、IPO(新規公開)株の分析に定評あり。証券マンの交流会も催しているが、現在は自粛中
ファンドマネジャーBさん/外資系投資銀行を経て、現在はプライベート・エクイティ・ファンドの運用担当者として活躍する。バリューやグロース株の運用に強みがあり、顧客の大半は海外
個人投資家Cさん/投資歴20年以上の大ベテラン兼業投資家。資産は2億円を超える。新興市場、IPO、高配当・優待株などへの投資を得意とするが、コロナ相場で資産は微減したという
金融ライターDさん/調査会社を経て、フリーランスに。セミナー講師などとしても活躍。ブルーチップから中小型株までをカバーする分析力と世界のマーケットを網羅した調査力に定評
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──日経平均は2万円を回復しました。コロナ相場は一段落ついたのでしょうか?
A:アベノミクス相場が始まる前の、2012年の日経平均が8700円で今年の高値が2万4千円。その半値押しの水準で、3月19日に反発しました。その直前に日銀の黒田東彦総裁がETF(上場投資信託)の年間買い入れ額を6兆円から12兆円に増額することを決定し、19日から1日当たりの買い入れを2千億円に増やした影響と考えられます。これにより3月は1兆5千億円、4月は1兆2千億円もTOPIX連動型ETFを購入したんです。日銀が月間1兆円以上も買ってくることを考えたら、売り崩すのは難しい。私は一旦底打ちしたと考えています。
B:欧米の感染者数が減って終息の兆しが見えてきたので、NYダウもあっという間に2万4千ドルを回復してきた。トランプ大統領が新型コロナ発生源を武漢のウイルス研究所だと批判しているので、米中貿易戦争のリスクが再び高まってきたが、3月のような暴落は想像しにくい。
C:新興市場のマザーズ指数は暴落前の水準を一足先に回復しましたね。バイオ関連銘柄や、外出自粛要請がプラスに働いたメルカリなどがけん引役となった。これを見ると日本株は力強さを感じます。