もし、僕が今現役だったとしたら、「実戦感覚」に関するトレーニングを多めに入れるでしょうね。おそらくチームとしても、そっちに時間は割くとは思いますが、ピッチング練習を行うにしても必ずバッターを立たせるとか。連携プレーやけん制などの確認も必要だと思います。

――開幕しても当分は無観客での開催です。選手のモチベーションなどに影響は?

 これは相当雰囲気が異なるので、かなり影響はあると思います。僕だったら、絶対的に嫌ですね。ゲーム慣れしている選手だと、お客さんが入っている雰囲気を感じて、集中力を高めているルーティーンがあったりしますし、そういう選手は、ほどよい緊張感を集中力にかえることができるんですね。そういう高揚感があきらかに減りますから、ベテラン選手ほど、やりにくいと感じると思います。

 ただ、無観客というのはアマチュア野球に近いものがありますから、新人の選手にとっては、優しい環境かもしれませんね。僕も初めてプロのマウンドにたった時は、お客さんの雰囲気にひるみましたから(笑)。特にソフトバンクの声援はマウンドが揺れるんですよ……あれは怖かったですね。

――交流戦、オールスターゲームは中止となりましたが、クライマックスシリーズ(以下・CS)に関しては、セ・リーグが中止、パ・リーグは検討中と意見が割れています。足並みがそろっていないように感じますが?

 もちろん、セ・パで一緒にするのがすっきりしていちばん良いとは思いますが、そもそもリーグが二つに分かれているので、別にいいんじゃないかなと個人的には思います。

 僕が千葉ロッテマリーンズでプレーしていた2005年は日本一になりましたけど、そもそもセ・リーグにはCSはなかったですし、パ・リーグはこれまでも新しい歴史を作ってきた背景がありますからね。

 実際やはり盛り上がりますし、CSがあるからこそ、リーグ優勝が決まった後でも個人タイトルだけに注目がいくっていうのが減りましたし、最後の最後まで何かしら6球団が絡んでくるっていうのは、選手たちにとってもやりがいがありますよ。

 また、球団の資金面というところでもCSの役割は非常に大きい。今年は特に。こういうコンテンツができるのであれば、やるべきだと思います。

(聞き手・構成/AERA dot.編集部・岡本直也)