週刊朝日は全国の2151高校の各大学の合格者数を独自調査した。昨年と今年の京大合格者数の変化を見ていこう。
前年比9人増の12人が京大に合格した海城(東京)の進路担当の春田裕之教諭は、こんな話をする。
「京大の広報活動の影響もあると思います。例えば予備校にも大学が積極的に講演に来ていたようです。本校の浪人生で大手予備校に通っていた4人はそこで話を聞き、そろって今年、京大に合格しました」
8人増の9人が京大に合格した国立高校(東京)の進路指導主任・飯島二三男教諭は、東日本大震災の影響を挙げる。
「本校はもともと京大志望者が多いのですが、震災が京大志向をさらに押し上げたように思います。東大に合格する力があるのに、京大志望を貫き通した生徒もいました。多摩地区に所在する本校の保護者は、西日本の出身者が多いので、関西に進学することへの抵抗が少ないという面もあると思います」
大学受験動向に詳しい大学通信の安田賢治ゼネラルマネジャーは、今年を振り返ってこう話す。
「県立浦和や県立千葉など首都圏の公立伝統校や、海陽(愛知)などの新設された高校の躍進が印象に残った年でした。しかし、全体の傾向としては、地元志向、現役志向が例年より強まったと思います。センター試験の平均点が上がったのに、強気の出願傾向にはなりませんでした。長引く不況に加えて、東日本大震災などの出来事が心理的な影響を与え、安全、確実な志向になったのではないでしょうか。受験生の中でも震災はまだ終わっていないようです」
※週刊朝日 2012年4月13日号