だから読むたびに新鮮で、気づけば「若草物語」フリーク。というのは私の話。子ども向け本からスタート、1949年制作映画をリバイバルで見たのが小学4年か5年。中学からは文庫版に移行、だいぶ飛んでアマゾンの日本上陸時は記念に「原書」を購入、保存した。昨年はミュージカル「Little Women~若草物語~」で涙するなどなど、とにかく「若草物語」となるとコンプリート魂がうずく。
2017年には「光文社古典新訳文庫」から麻生九美訳版が登場、もちろん購読。先ほど紹介したジョーの台詞はそこから引用した。従来の「お父さま、お母さま」を「パパ、ママ」とし、上品さを保ちながらのポップ度アップに成功している。
1994年版の映画で印象に残っているのは、「フェミニズムの視点を強調した」という評だった。それまで私にとって『若草物語』は“ホームドラマ”だったから正直、驚いた。全くボーッとした話だが、何せ小学生で出合った時、「ライスプディング」に一番ひかれた人間だ。お米に関係ありそうだが、どんなお菓子だろうという謎は、実は今でも解けていない。
しかし遅ればせながら大人の目で見れば、確かにジョーはただの「ボーイッシュな女の子」ではない。自立したい少女なのだ。麻生訳から、ジョーの小説が新聞に掲載される場面を紹介する。新人による持ち込みだから、原稿料は出ない。だがジョーは、姉妹にこう語る。
「もっといいものを書けば、どこでも原稿料を払ってくれるようになるってさ。ああ、うれしい。そのうち自分の生活費を稼げるようになって、あんたたちにも援助してあげられるようになるかもしれないんだから」
この視点が強調されているのが、公開中の「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」だ。監督・脚本のグレタ・ガーウィグはこう語っている。
「私はこの原作が本当に伝えたいことは何か、はっきりわかっていたの。アーティストとしての女性、そして女性と経済」