高齢者への配慮も課題と言える。大阪府や京都市など各地方自治体では、すでに先行して独自に新型コロナ接触追跡システムを運用。集客施設に発行されるQRコードを利用者がスマホで読み取り、メールアドレスなどを登録すると、感染者との接触の可能性を通知してくれるサービスだが、京都市に住む60代の男性はこう話す。

「高齢者には仕組みがなかなか理解しづらく、登録が難しいと感じます。それにシステムが運用されるまでに感染者が激減していて、数日に1人とかですので、情報源としての効果の実感はありません」

 現在、20~30代の若者の感染者が多いとはいえ、高齢者の利用をどれだけ計算できるかはCOCOAでも大事だ。前出の高橋氏はこう指摘する。

「高齢者でスマホを持っていない人はまだまだ多いですし、そういった高齢者が多く集まる場所もあります。インストール方法など高齢者には心理的なハードルが高く、全年齢層を網羅できるかという点でも、現状ではCOCOAの実効性は乏しいと言わざるを得ません。ですが、これまでは受けにくかったPCR検査も、アプリによる通知があれば受診が案内されますし、インストールすることにデメリットはないので、若者が高齢者に教えてあげるなど広く普及してほしいです」

 記者もインストールしたが、使い方のページに例示される「陽性者との接触確認 3件」の文言を見て、怖さを感じた。現実を直視したくないがために導入を見送るか、早期発見のための手段として活用するか。実効性はともかく、自分や周囲の健康を守るためには、やらないよりはいいだろう。(本誌・秦正理)

※週刊朝日オンライン限定記事

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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