血液のがんである悪性リンパ腫は、全身のどこにでもできる可能性がある。1年間に新たに診断される人は約3万4千人であり、膵臓がんに次いで8番目に多い。高齢になるほど増え、近年、増加傾向がみられる。
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血液の中の白血球の一種で免疫を担うリンパ球が、成熟する過程でがん化したものが悪性リンパ腫である。
悪性リンパ腫は細かく分類され、現在、七十数種類にもなる。なぜ数多くに分類されるのか。国立がん研究センター中央病院血液腫瘍科科長の伊豆津宏二医師はその背景をこう解説する。
「リンパ球には大きくB細胞、T細胞、NK細胞の3種類があり、どの細胞からがん化したのか、成熟過程のどの段階でがん化したのか、さらにはからだのどこにできたのか、などの組み合わせで治療法が異なり、それぞれに病名が付けられているからです」
そのため、最適な治療法を選択するには、正確な診断が非常に重要だという。
悪性リンパ腫はまず、病変部にホジキン細胞などを含むホジキンリンパ腫と、それ以外の非ホジキンリンパ腫の大きく二つに分類される。さらに非ホジキンリンパ腫は、もとになった細胞などによって細かく分かれている。日本人の悪性リンパ腫の90%以上は非ホジキンリンパ腫である。
では、患者はどのようにして見つかっているのか。伊豆津医師は言う。
「主に2通りです。一つは、悪性リンパ腫の代表的な症状である、からだの表面にできたリンパ節の腫れやしこりに気づいて受診するケース。もう一つは、健診の腹部超音波検査などで、からだの中のリンパ節の腫れが偶然見つかるケースです」
悪性リンパ腫では、がん化したリンパ球がリンパ節で増殖して塊をつくり、腫れやしこりとして現れることがある。どこにでも出る可能性があるが、首やわきの下、太ももの付け根などに多くみられる。ほとんどの場合、痛みはない。
「腫れやしこりの大きさがおおよそ2センチ以上なら悪性リンパ腫の可能性があり、大きいほど可能性が高くなります」(伊豆津医師)