在宅勤務から出勤に移行しつつある中、気になるのが職場での感染予防対策だ。電話やコピー機など共有するものが多いだけに、消毒に気を配る職場もあるだろう。京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授の宮沢孝幸さん、ナビタスクリニック理事長の久住英二さん、京都工芸繊維大学准教授の山川勝史さんの3人の専門家が解説する。AERA2020年7月6日号から。
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Q1:名刺交換は避けて、ドアノブも電話もコピー機も消毒したほうがいい?
久住:リスクは低いが、ゼロを目指すならオンラインでも
やたら名刺をベタベタ触るなら別ですが、リスクはかなり低い。気にするかどうかは人によるので、相手を不安にさせないというエチケットの範疇(はんちゅう)。オンライン化できるなら安心かもしれません。
宮沢:消毒した方がいいが、キリがないので手洗いを
ドアノブなど不特定多数の人が触る部分の消毒はした方がいい。でも、やりだしたらキリがないし、四六時中消毒することもありません。みんなが感染のリスクに敏感になり、よく手洗いをし、顔を触らないように徹底すればいいのです。
Q2:エアコンの風で感染しますか?
山川:ほとんどのエアコンには換気機能がない。換気を
海外の飲食店でエアコンの風に乗って飛沫(ひまつ)が飛んだという報告がありますが、その店は換気をしていませんでした。問題はエアコンというより換気です。ほとんどのエアコンには換気機能がないので、なんらかの方法で換気が必要ですが、部屋の作りや換気扇の有無・能力にもよるので、推奨すべき頻度については一概には言えません。一般家庭や学校の教室では1時間に1回程度などではなく可能な限りすることを勧めます。
オフィスや店舗は床面積とそこで過ごす人の数に応じて、建築基準法で定められた換気設備が設置されています。気になる人は、自分の働く場所に設定されている換気設備がどのようなタイプでどう稼働させるべきか、確認してみてください。
(編集部・石臥薫子、小長光哲郎)
※AERA 2020年7月6日号
■アエラでは、「新しい生活様式」を感染拡大防止の効果は維持しつつ、より合理的で続けやすい形にアップデートすることを試みました。発売中の「AERA 2020年7月6日増大号」では、4人の専門家に取材。27つの「新しい生活常識」を提案します。