東京五輪で個人メドレーの金メダルを目標にする社会人の萩野公介と大橋悠依は、3大会で400メートル個人メドレーだけでも予選、決勝と計6回泳ぎました。2人は再開した練習で、いい動きを見せました。バタフライも力まずに自然と体重が前に乗っていける感じで、レースを重ねた効果がはっきり出ていました。
大会後の月曜は1日休みを取り、火曜の午後に2人は3200メートルのメイン練習に取り組みました。バタフライ50メートル8回、背泳ぎ50メートル8回、平泳ぎ50メートル8回、自由形50メートル8回を泳ぎ、各種目8回終えた直後に400メートル個人メドレーを泳ぐハードな内容です。
このセットは米国のミシガン大学で多くの五輪メダリストを育てたジョン・アーバンチェックコーチの練習メニューです。私がコーチになって4年目の1989年、ミシガン大学の練習を見学させてもらったとき、練習メニューが書かれた何冊かの手帳のコピーを取らせてくれたのです。
萩野が400メートル個人メドレーで金メダルをとったリオデジャネイロ五輪の前には、この練習を2セット続けて行いました。不調から立ち直りつつある萩野は4年前の練習タイムには及びませんが、復調へ向けた手応えはつかんでいます。
スポーツを楽しむことが制限され、気持ちが抑圧されるような時期が続いたので、身内の小さな大会でも開放感を味わうことができました。3試合を続けて行って選手との一体感が増しました。私自身、もやもやしていた気持ちがふっきれたように感じています。
(構成/本誌・堀井正明)
※週刊朝日 2020年7月10日号