是非はまったく別として、森友・加計学園問題では官僚をはじめとした周囲の人間たちが徹底的に安倍首相を守り、「ある意味、ガバナンスが利いていたと言えるでしょう」(上氏)。ところが、コロナのPCR検査をめぐっては、安倍首相の声は届かなかった。
「歴史的な経緯から、日本では公衆衛生と医療は完全に縦割りです。専門家会議は公衆衛生のラインの先生方が中心になっていますから、医療の現場にはあまりタッチできていません。そもそもこれではパンデミックに対応できません。加えてPCRですが、検査数を増やすことは、『公衆衛生村』にある保健所のキャパオーバーを意味しますから、積極的に増やそうとしたとは思えません」(同)
上氏はこう指摘する。
「混乱の責任は指示を出さなかった加藤勝信厚生労働相や、鈴木俊彦事務次官にあります。まともなブレーンがいなかったのです」
新たな会議体は7月に立ち上がる。政府や専門家が情報をオープンにして、これまでの活動の総括をすることを求めたい。(編集部・小田健司)
※AERA 2020年7月13日号