

新型コロナウイルスの影響で多くの業態が苦境に立たされている中、映画館もかなりの打撃をこうむっている。特にアート系作品を上映して映画文化を支えてきたミニシアターの経営は危機的状況だ。立て直しに向けて映画監督や俳優らも動き始めた。ライターの藤井克郎氏が、ミニシアター支援の広がりを緊急リポートする。
6月12日の参議院予算委員会。第2次補正予算案の審議で、質問に立った山添拓議員から、国に支援を求めているミニシアター、小劇場、ライブハウスについて尋ねられた安倍晋三首相は「わが国の文化芸術をより豊かなものに育てていくために、重要な役割を果たしていると認識している」と答えた。
「国会でこれだけミニシアターが話題にされたのは、恐らく初めてではないか。国がちゃんと文化的存在として認めたというのは、大きな一歩だと思う」と、全国のミニシアターなどが加盟する一般社団法人コミュニティシネマセンターの事務局長、岩崎ゆう子さんはほっと胸をなでおろす。
ミニシアターとは、数多くのスクリーンを抱えるシネマコンプレックス(シネコン)と対比して、スクリーン数も座席数も小規模な映画館のことを指す。最大の特徴は多様な作品を独自に選択して上映している点で、同センターによると、2019年で全国に127館が存在。スクリーン数は217で、356館3197スクリーンを有するシネコンと比べると10分の1以下だが、年間に公開される映画の約70%がミニシアターでかかっており、約50%はミニシアターでしか上映されていない。つまりミニシアターがなくなれば、半数の映画は上映の場所がなくなるというわけだ。
それが今回のコロナ禍で、2月ごろから軒並み客足が減少。4月7日の緊急事態宣言以後は2カ月近く休館を余儀なくされ、解除後は全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)のガイドラインに沿って、座席を最高でも50%、劇場によっては30%に抑えて再開している。