国民的人気グループ、乃木坂46卒業から1年。西野七瀬さんは、昨年放送のドラマ「あなたの番です」を経て、俳優として独特のポジションを築きつつある。AERA 2020年4月13日号から。
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2018年12月、1期生として7年間在籍したアイドルグループ乃木坂46を卒業してから、1年が経った。
西野七瀬(以下、西野):乃木坂時代よりもゆっくりしつつ、新しい仕事にも挑戦したり、充実した1年でした。これまでの一年一年も毎年充実していましたが、19年はこれまでとは色の違う感じでした。やはり一人で活動し始めたということが大きいですね。自分の責任も大きくなりますし、もっと人と会話やコミュニケーションを楽しもうと思いました。
19年放送の連続ミステリードラマ「あなたの番です」では、心に闇を抱えた理系の女子大生役を演じ、視聴者に強烈な印象を残した。
西野:複雑な役を演じること自体の難しさ、普段できないようなことを演じる楽しさ、どちらもありました。ただ、自分一人ではあの役を演じきるのは絶対に無理だったと思っています。周りの方に助けていただきながら、何とか、形にできた感じです。「あなたの番です」は、出演者だけではなく、スタッフさんも含めてチームワークがとてもよく、お互いの認識をしっかりと感じ取ることのできた現場でした。そのことも番組がいい方向に行ったひとつの理由じゃないかなと思います。
あんなに殺伐としたお話なのに、現場が殺伐とした空気になることは一度もなかったんです(笑)。「作りたいものはこうだよね」と全員で納得して動いていました。私は場に慣れるのに時間がかかるタイプなので、1クールではなく2クールだったのもよかったです。
20年は、7月16日放送開始の連続ドラマ「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」に、病院の薬剤部で働く新人薬剤師・相原くるみ役で出演する。
西野:原作の登場人物と名前は同じですが、ドラマではほぼオリジナルのキャラクターになっています。主人公の葵みどり(石原さとみ)が勤める病院に、新人薬剤師として入ってくるのですが、病院薬剤師に憧れていたわけではなくて。「看護師は難しいけど、薬剤師だったらなれるんじゃないか」という、ちょっと冷めたところがある子なんです。仕事を熱心にやろうともあまり思っていなくて、「合わなかったらいつでも辞めます」と口に出して言えちゃうタイプ。思ったことを言ってしまうという点では、よくも悪くも裏表がない性格なのかもしれません。