AERA 2020年7月20日号より
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東京都渋谷区のハローワークでは、4月末の時点で失業手当などの給付手続きを行う人が、コロナ対策で間隔を空けて座っていた (c)朝日新聞社
東京都渋谷区のハローワークでは、4月末の時点で失業手当などの給付手続きを行う人が、コロナ対策で間隔を空けて座っていた (c)朝日新聞社
AERA 2020年7月20日号より
AERA 2020年7月20日号より

 新型コロナウイルスの影響で、企業の経営環境が悪化している。勤務する会社で突然の肩たたきが起こる可能性もある。そのときどう対応すればいいのか。AERA 2020年7月20日号では、退職勧奨に負けない備えをレクチャーする。

【完全失業率はどのくらい増えた?】

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 日本最大級の法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」でも、緊急事態宣言以降にコロナ関連の相談が急増したという。たとえば、ある相談者はコロナに伴う業績不振を理由に、給与3割カットに応じる書類に署名捺印を迫られた。拒否すると、会社側は解雇に踏み切る構えを示したという。

 また、別の相談者も同じく給与3割カットを強要されてそれを拒むと、やはり解雇を告げられた。しかも、その会社は国から雇用調整助成金の支給を受けていた。同制度は、コロナの影響で売り上げが減少し、やむをえず休業手当を支給しながら従業員を休業させている企業を対象としたものだ。

 どちらのケースも不当解雇の可能性が考えられるし、そもそも給与の減額は、雇っている側が一方的に決められるものではない。さらに、奇策で実質的に給与の減額を画策する企業もある。ある相談者は、売り上げ急減を踏まえて休日を増やし、該当日の給与は支払わないと経営者から告げられたという。

■密室での協議は拒絶

 会社都合で休業となった日の給与を支払わないのは、労働基準法に違反している行為と言えよう。こうしたケースは、弁護士や労働基準監督署に相談して会社側と闘うことも可能である。

 だが、経営者や人事担当者の執拗な「退職勧奨」に根負けし、不承不承で退職届を書かされた場合は面倒だ。弁護士ドットコム取締役の田上嘉一弁護士によれば、退職を求める際に精神的に追い詰めていくなどのパワハラを伴っていれば「法的に争うことも可能」と言う。

「ただ、密室での交渉なので、やりとりの録音データのような物的証拠が欲しいところ。あるいは、その手の話を切り出されたら、密室での協議は拒絶したほうがいいでしょう」

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