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「なぜ、もっと食い下がらない」「記者は聞くべきことを聞いているのか」――。

 いま政治取材の現場で何が起きているのか。官邸記者クラブの本音の一端がわかるアンケート結果を、朝日新聞政治記者として現場を踏んできた新聞労連委員長・南彰氏の著書『政治部不信 権力とメディアの関係を問い直す』(朝日新書)から、一部を抜粋・改編してお届けする。

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 官邸記者クラブのメンバーは何を考えているのか。

 新聞労連は昨年5月、官邸での記者会見の役割をどのように考えるのか、現場の記者の「本音」を知ることを目的とした官邸記者アンケートを実施した。

 望月記者が官房長官記者会見に参加するようになった17年6月以降に官邸記者クラブに在籍したことのある記者を対象に労働組合を通じて呼びかけ、33人(新聞・通信社27人、テレビ・放送3人、その他・答えたくない3人)から有効回答を得た。

 望月記者の質問スタイルについて感じていることを、12の選択肢から複数回答可で選んでもらうと、「質問が長い」が17人、「質問が主観的・決めうちである」が16人、「質問に事実誤認が多い」が10人に上った。

 新聞労連が19年3月に抗議声明を出すにあたり、筆者自身もこんな経験をした。

 官邸が「事実誤認」と記者クラブに申し入れを行った18年12月26日の望月記者の質問内容について、官邸記者クラブの旧知の記者とやりとりすると、「彼女の質問は間違いが多いからな」と言われた。

 日常的に官邸側から望月記者への不満を聞かされるなかで、刷り込みがされ、相互に不満を高め合っていたことがうかがえる。

 アンケートでは、東京新聞や望月記者に対する不満を吐露する回答も多かったが、官邸での記者会見や取材に関して感じていることを尋ねた自由記述では、相互監視のなかで身動きがとれない官邸記者クラブ員の様子が浮き彫りになった。

 興味深かったのは「長官会見で期待されている役割」について、「読者・視聴者から」と「会社から」に分けて聞いた設問への答えだ。

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どんな回答だったのか…