「東電の値上げは熱料費の上昇が理由ではなく、債務超過でどうにもならないというのが本当のところです」と語るのは慶應大学教授の金子勝氏。東電は資産が14兆円ほどで、有利子負債も約9兆円ある。福島第一原発事故までは、借金を返済しながら社債を発行してやりくりしていた。ところが事故以降、銀行が金を貸さなくなり、社債も発行できない。つまり、借金ができなくなってしまったという。金子教授が語る。
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原発を造るときに1基あたり、3千億~5千億円ほど設備投資がかかる。この借金(=設備投資)は、原発を稼働して返済していた。いまは原発を動かせないのに、借金は返さないといけない。維持管理費もかかる。つまり、稼働できない原発は、とんでもない不良債権なのです。
だから、東電はなんとしても原発を動かしたい。古い原発ほど、「借金」はすでに返済済みだから利幅も大きい。だからこそ、運転期間を40年以上に延長しようとしているのです。
東電はもはやゾンビ状態。「身を切る」なんてことで、どうにかなるレベルではありません。
※週刊朝日2012年2月24日号
古賀茂明
敦賀原発2号機の再稼働「不合格」で明白になった活断層の危険性 日本の原発推進派の主張は“世界の非常識”だ 古賀茂明