「東京家族ラボ」主宰の池内ひろ美氏は、メディアでもおなじみの夫婦・家族問題評論家。離婚をはじめとするさまざまな夫婦、家族の問題についてコンサルティングを行っている。彼女が先日カフェで遭遇した60代と思しき女性たちは、こんな人たちだったという。
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その日見た茶髪ロングヘアにベージュのバックスキン毛皮付きコートを着て、ミニスカートに網タイツをはき、さらに流行りのニーハイブーツを履いていた女性が、どう見ても65歳以上だったから、すごい。
「60代女子」である。勝手に定義するなら、ミニスカートをはく彼女たちが「60代女子」。加齢とともにひざ小僧が下がったり凹凸が激しくなるためニーハイブーツも必須アイテムか。
30分ほどお茶を飲んでいるとき聞こえた会話から彼女たちの生態を説明しよう。イタリアンカフェの隣席に7名の女性グループがケーキセットを食べている。ショートカットでワインレッドのアンサンブルを着た女性が口火を切る。
「ねえ、年金どうする?」
「うーん。この前と同じじゃだめかしらねえ」
「またホストクラブ? 少し飽きかけてるんだけど。ホストってワンパターンでしょう」「そうね、じゃ、小さく旅行するとか、どうかなあ」
「冬のソウルは寒いわよ」
「あなた方はどう?」
「ネイル。ジェルネイルだから1カ月保てるから」
「女優やモデルも通ってるクリニックで高濃度ビタミンC点滴を受けたらいいんじゃないの」
「注射針は怖い、レーザーでホクロを取りましょう」
爪に火を灯すように節約し年金に頼って細々と生きる人もあれば、2カ月に一度集まってその使途を協議する人たちもある。
※週刊朝日 2012年2月17日号