山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員
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写真はイメージ(GettyImages)
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 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「気象病」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

【図】関東の梅雨明けはいつ?

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 異例の長さとなっている今年の梅雨。気象庁によると、8月に入ると太平洋高気圧の勢力が強まり各地で晴れの日が増えるようですが、梅雨前線の停滞による長雨や日照不足は深刻です。

 例えば、7月上旬の東日本の日本海側では、なんと平年の25%の日照時間でした。これは、1961年の統計開始以来最短の日照時間なのだとか。また、東京都心では7月18日まで19日連続で雨が降り続き、1985年の15日間連続の雨が降った記録を更新。長雨による雨量の増加も、各地で確認されています。
  
 私たちの家計にも悪影響が出始めています。東京都中央卸売市場のまとめによると、7月10日から16日までの野菜の卸売価格が、人参は前年同期比の3.45倍、ネギが2.4倍、レタスが1.38倍と、前年に比べて上昇を認めています。農林水産省によると、「天候が改善しなければ、価格の高騰が深刻化しかねない状態」なようです。

 雨の日やどんよりとした曇り空の日が続くと、身体にも不調をきたします。梅雨で雨や曇りの日が続くこの時期は、「気圧のせいか、頭痛が辛いです……」といって外来を受診される方が増えます。「天気が崩れる日は、体調が悪い気がする」と自覚されている方も多いのではないでしょうか。

 このように、天候や気温、湿度や気圧といった気候条件の変化や気候の急激な変化によって、不調をきたしたり、症状が出現したり悪化したりする症候を「気象病」といいます。

 私も雨の日が続くこの時期は、頭重感や頭痛、肩や首の痛みを頻繁に自覚します。7月中旬から気分が落ち込む日が増え、気力がどんどん低下していきました。特に、今年の梅雨時期は暑い日もあれば肌寒く感じる日もあり、身体が気温の変化についていけなかったようで、こうした症状に加えて、朝起きるのが辛く、いくら寝ても寝足りない日もありました。

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「気象病」発症のメカニズムは諸説あり