政局の中心にいる吉村府知事 (c)朝日新聞社
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吉村洋文大阪府知事をめぐる政界相関図 (週刊朝日2020年8月7日号より 写真=(c)朝日新聞社)
吉村洋文大阪府知事をめぐる政界相関図 (週刊朝日2020年8月7日号より 写真=(c)朝日新聞社)

「コロナ第2波」の直撃で来夏開催も赤信号が灯った東京五輪。年内に中止が決断され、その前に安倍政権が解散を打つ公算が大という。政界再編に蠢く永田町。そのど真ん中にいるのが、吉村洋文大阪府知事(45)だ。

【吉村知事をめぐる政界相関図】

*  *  *

 安倍政権肝煎りの国内旅行の需要喚起策「Go To トラベル」が7月22日から始まったが、東京はじめ、大阪、愛知など各地で新型コロナウイルス感染者が激増。キャンペーンとは裏腹にコロナ感染への警戒が広がり、外出自粛の動きが広がっている。

「コロナ第2波」が到来するなか、注目されるのは吉村知事だ。毎日新聞と社会調査研究センターによる世論調査では、コロナ対応で最も評価された政治家となり、2位の小池百合子東京都知事にトリプルスコアをつけて圧倒的1位となった。

 大阪維新の会の地方議員はこう話す。

「地元の人たちは『安倍さんは何言うてるかわからへん。吉村さんの言葉はわかりやすくていい』と話しています。大阪で吉村さんが維新候補の応援でマイクを握ったら、すごい反応がええ。小泉進次郎さんにも勝っている」

 衆院の任期満了は来年10月だが、年内には1年後の東京五輪・パラリンピックを開催するかを決めなければならないだろう。世界中でコロナの感染が広がる中、東京大会の組織委員会関係者は「1年後の開催はかなり難しい」と話す。そのため「五輪中止が決まったら安倍政権へのダメージが大きすぎる。その前に解散を仕掛けるだろう」(野党議員)というのが、永田町での共通した見方だ。この状況も吉村氏の追い風になっている。自民党幹部は言う。

「自民の世論調査では、コロナ対応の失敗の影響が大きく、次の選挙では自民の議席数は単独過半数割れの220議席程度という数字が出ている。対照的に吉村知事の頑張りで維新は大幅に議席を伸ばす。特に大阪の小選挙区は自民がやられる。それを見越して、維新とは選挙協力を始めておく必要がある」

 すでに動きは始まっている。7月14日には、吉村氏は首相官邸で安倍晋三首相や菅義偉官房長官と面会。コロナ対策の要望書を手渡した。感染再拡大について、菅氏が小池知事に「この問題は圧倒的に『東京問題』と言っても過言ではない」と批判する一方、同じく感染が拡大している大阪の吉村氏には、安倍首相が「敬意を表したい」と露骨に持ち上げているのとは対照的だ。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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