明治大学文学部教授の齋藤孝さん (c)朝日新聞社
明治大学文学部教授の齋藤孝さん (c)朝日新聞社
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 人生100年時代の今では中途半端に若いが、定年や第二の人生も視野に……そんな微妙な年齢の55歳。しかし、今から行動することで、より次の人生が充実してくる。

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 55歳からの人との付き合い方や、自分自身との向き合い方をどうするか。

『55歳からの時間管理術』(NHK出版新書)の著者で明治大学文学部教授の齋藤孝さん(59)は、まず心得ておくべきこととして、

「残念ながら、基本的に55歳の年齢の男性はそれほど好かれません。それを自覚しましょう」

 と念を押す。

 年齢的にもイライラしがちになり、ちょっとしたことで人と衝突しやすくなる。今はコロナへの不安から、店や行政の窓口などで過剰にクレームをつけたり、他人に厳しくなったりしがちだ。対応する相手を追い詰めるカスタマーハラスメント(カスハラ)や、会社であればパワハラをしてしまっては最悪だ。

 こうした点を踏まえ、齋藤さんがアドバイスする。

「だからこそ、なるべく周囲に感じよく対応しましょう。目指すは甘口評論家です」

 ただし、女性の服装や髪形について言及するときは特に気をつけなければならない。相手の捉え方次第ではセクハラにもなりかねないからだ。

 さまざまなハラスメントのリスクがあり、どうしていいかわからない、という男性がいるかもしれない。

 齋藤さんは言う。

「55歳という年齢は、これまで積み重ねてきた良識を健全に発達させていく段階といえます。世代的にはまだまだ若い。焦らず、不安を感じず、知的体力を鍛え直して、知性を整え、感情をコントロールしていけば、90歳になっても幸福な人生が待っていることでしょう」

 それでは、具体的にはどういったことから始めたらいいのか。齋藤さんに「嫌われぬオヤジになるための極意7カ条」を聞いた。

【1】人との距離感を大切に

 一緒にいても互いに気を使わない関係の友人を確保した上で、人との付き合いは「淡交(淡い交わり)」を目指そう。人間関係の衝突は人との距離を近づけようとしたときに起きるからだ。

【2】いつも上機嫌を意識

 年を重ねると中高年はキレやすくなる。まずはこれを自覚する。上機嫌な自分でいられるように心掛けよう。イライラしたときはチョコレートなど甘いモノを食べるなどして落ち着かせる。心持ちを軽やかにしておくことが大切。

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