となると当面は自衛するしかないが、安心できる物件を見つけるにはどのような点に気をつければいいのだろう。中山研究員は次のように指摘する。

「時間がかかるといっても、今回の件を受け、各社とも原材料の産地などを調べているはずです。モデルルームを見学したときなどに、どこの石や砂利を使っているのか、鉄筋や鉄骨などを含めた原材料の検査態勢はどうなっているのかなどを積極的に尋ねるといいでしょう」

 もう一つ心配なのは、既に購入したマンションが汚染されているケースだ。

 新築住宅は引き渡し後10年間は、物件に欠陥が見つかれば、業者は契約解除や補修などの責任を負う瑕疵(かし)担保責任が義務づけられている。だが、原子力損害賠償に詳しい中所克博弁護士は、
「問題はどこまでが瑕疵と認められ、どこまで賠償してもらえるかです」
 としてこう説明する。

「瑕疵には、放射線量が高くて住めないという物理的瑕疵だけではなく、風評被害で商品価値が下がるといった心理的瑕疵もあり、どちらも認められます。しかしながら、実際には線量は低いが住みたくないといった場合なども考えられますし、微妙なケースは個別に判断せざるを得なくなるでしょう」

 少しでも危険があれば、住みたくないのは当然だ。賠償してもらえるかやきもきしながら、居住者が時間を取られ、負担を強いられるのではたまったものではない。

 そもそも、国がしっかりしていれば、しなくてよかった心配ではないか。これ以上の「想定外」を出さないために、国は重い腰を上げるべきだ。 

週刊朝日

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