大学時代のリーグ戦では通算98試合に出場、119安打16本塁打93打点を記録した。4年時の日米大学野球では日本代表の4番を任された実力者。1位指名でもおかしくない素材だが、取り巻く状況もファンの行動の一因になった。
「白鴎大学は野球関係者には強豪校として知られているが、よほどの野球好き以外には、その名前はまだ浸透していない。当初、指名を公言していた佐々木の桜美林は、附属高校が高校野球の名門としても知名度がある。大山のアマチュアでの実績は文句なしなのだが、出身大のネームバリューなどブーイングの一端になったのではないか。かわいそうでした」(在阪阪神担当記者)
入団後に「指名されたとき、ええーっと言われた。それは忘れられない」と大山もコメントしているほど忘れられないトラウマだ。
大卒1位指名に期待されるのは、即戦力として結果を残すことだ。
「最近の若者とは思えないくらい真面目。考え過ぎてしまうのが欠点で殻を破れない」
球団関係者は人の良さがマイナスに感じることもあるという。
「1つ1つのプレーを引きずることがある。打撃の調子が良くない時などは、声のトーンも低くなる。俯き加減に歩いているようにもなる。調子が悪くても1軍に置いてもらい、それがプレッシャーという悪循環になっているような感じに見えた」
印象的だったのが18年開幕直後のこと。大山は開幕戦で巨人のエース菅野智之から本塁打を放つなど、順調なスタートをきった。しかしそれ以降は三塁守備でミスを連発し打撃も下降線を辿った。
「ベンチに帰ってくるとグラブをはめたまま、しばらく守備のことを考えていた。気持ちの切り替えができなかった。ある試合ではチェンジ後ベンチに座ったままで、周囲に言われてネクストサークルに向かったこともあった」
どの競技でもそうだが、性格的に多少クセがあるくらいの方が大成すると言われる。純粋で素直過ぎる大山の場合、多少は利己的になった方が良さそうだ。